it Project 展覧会 vol.3 後藤靖香 「In the Blue」

2023. 09. 7 / News

Setouchi L-Art Project(SLAP)は、 第3回アーティスト招聘プロジェクトとして、2023年10月6日から2024年1月21日まで、広島県在住の画家 後藤靖香(ごとうやすか)氏による個展「In the Blue」を、iti SETOUCHIで開催します。

後藤は、自身の祖父や大叔父の戦争体験をはじめ、歴史に埋没した個人史や場所の記憶を丹念に調査し、大画面に劇画調のタッチで描くスタイルで知られています。本展では、近年後藤が取り組む人形浄瑠璃文楽にちなんだ作品制作に着目します。
後藤は、2023年3月にクールジャパンパーク大阪TTホールで上演された「COOL文楽Show」、2023年10月に大阪市中央公会堂で公開予定の「中之島文楽」の舞台美術を担当しています。
本展では、後藤が青の色彩を基調に描いた、これら舞台美術のプロジェクション・マッピングの素材となる原画、および緞帳の巨大ドローイングを中心に展示します。後藤がテーマカラーとした青は、物語の繊細な心情描写に効果を発揮し、そのドローイングの力は古典芸能の作品世界を現代の人々に新鮮に伝えることに成功しています。
今日では、大阪は人形浄瑠璃文楽の中心地として知られていますが、人形浄瑠璃の文化は瀬戸内に位置する淡路(兵庫県)や阿波(徳島県)から全国に伝わりました。徳島では、吉野川の恵みによる美しい青の阿波藍が莫大な富をもたらし、人形浄瑠璃が発展しました。一方で、人形浄瑠璃の劇場音楽である「浄瑠璃」の語源は「清らかな青」を意味しています。つまり、本展のタイトル「In the Blue」は、人形浄瑠璃の成り立ちやその芸事を育んだ歴史的背景までを内包しているのです。

本展を開催する広島県福山市は、江戸時代から綿織物業が盛んであり、江戸時代末期には藍で染めた糸を織りあげる備後絣の生産も始まります。備後絣の染色や縫製等の技術は、今日の街を代表するアパレル産業であるデニム製造にも受け継がれています。本展において、古典芸能に新たなイマジネーションを与える後藤の作品を通じて、過去から未来へと文化を伝える現代アートの可能性について考えると同時に、人形浄瑠璃と藍の関わりから、瀬戸内を横断して大阪と福山を繋いでいく「青の文化史」を再考する契機ともなるでしょう。

SLAP総合ディレクター 菅亮平


【展覧会概要】
会期|2023年10月6日(金)〜2024年1月21日(日)
時間|10:00-21:00(コワーキングスペースtovioは18:30まで)
入場|無料(コワーキングスペースtovio内の展示のみ550円)
会場|iti SETOUCHI (広島県福山市西町1-1-1 1F)
協力|文楽を中心とした古典芸能振興事業実行委員会
徳島県立阿波十郎兵衛屋敷福山電業株式会社
後援|福山市、エフエムふくやま
※年末年始の休館期間はWEBでご確認ください。

 

【後藤靖香「In the Blue」コワーキングtovioの展示構成について】
コワーキングtovio内では、人形浄瑠璃文楽の舞台美術に使用された原画や関連するドローイングが中心に展示されます。こちらは、会期中に作品の一部の入れ替えを行いながら、展示内容が更新されます。また、作家本人による展示替え作業は公開で行われます。いつご来場いただいてもそれぞれ展示として成立した状態になっておりますが、二度三度お越しいただく楽しみ方もあります。展示が移り変わっていく様子についてもSNSで発信しますので、ぜひご注目ください。

[公開インストール日]

① 11月5日(日) 10:00-12:00 / 13:00-15:00
② 12月16日(土) 13:00-16:00

※ 作家が展示会場に在廊して、作品の入れ替え作業を公開で行っています。

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【招聘アーティストのご紹介】

後藤 靖香(Yasuka Goto)
画家。1982年広島県生まれ。2004年京都精華大学芸術学部造形学科洋画コース卒業。広島県在住、地域に根ざした民俗・風土と密接に関わりながら創作活動を行う。自身の祖父や大叔父の戦争体験をはじめ、歴史に埋没した個人史や場所の記憶を丹念に調査し、大画面に劇画調のタッチで描くスタイルで評価を受ける。近年は日本の風土や歴史を反映した芸能文化にも関心を抱き、2023年の「cool文楽show曽根崎心中」ではプロジェクションマッピングを利用した舞台美術を担当する。国内のギャラリーと美術館を中心に個展、グループ展に多数参加。主な受賞歴に「第四回 絹谷幸二賞」(2012年)、「VOCA奨励賞」(2011年)などがある。
【関連プログラム開催について】
本展開催中、古典芸能と現代アートの関係性や楽しみ方をゲストを交えて紹介するトークイベントや、徳島の阿波人形浄瑠璃の普及に取り組む「徳島県立阿波十郎兵衛屋敷」の館長・ 佐藤憲治氏をお招きした阿波人形浄瑠璃体験ワークショップを開催します。


1. トークイベント「アートと古典芸能の結び目をほどく」

後藤靖香氏のこれまでの活動と展示作品の解説に加えて、古典芸能と現代アートの関係性、楽しみ方をゲスト登壇者を交えて紹介します。

登壇者|後藤靖香(SLAP 招聘アーティスト)、橋本梓(国立国際美術館 主任研究員)、菅亮平(美術作家 / SLAP 総合ディレクター)
モデレーター|香村ひとみ(SLAP プログラムディレクター)

開催日|2023 年 11月 5 日(日)
時間|17:00-19:00
場所|iti SETOUCHI コワーキングスペース tovio
参加費|1,000 円(ドリンク・軽食付き)

※10月21日から、11月5日開催に日程変更となりました(10/19更新)。

■申し込みはこちら■

 

2. ワークショップ「阿波人形浄瑠璃 体験」

江戸時代から今日まで全国有数の「人形浄瑠璃の国」として知られる徳島県の伝統芸能「阿波人形浄瑠璃」の魅力を紹介し、実際に人形遣いを体験できるワークショップを行います。
講師|佐藤 憲治氏(徳島県立阿波十郎兵衛屋敷 館長)、人形尚(人形師)
モデレーター|菅亮平(SLAP総合ディレクター)
開催日|2023 年 12月 16 日(土)
時間|17:00-18:30
場所|iti SETOUCHI コワーキングスペース tovio
参加費|1,500 円(ドリンク付き)
・文楽を中心とした古典芸能振興事業実行委員会|https://www.osakabunraku.jp/
・徳島県立阿波十郎兵衛屋敷|https://joruri.info/jurobe/
・福山電業株式会社|https://tovio.com/
・iti SETOUCHI|https://iti-setouchi.com/
・デザイン|長友 浩之